36 Quai des Orfèvres (2004)

36 Quai des Orfèvres



この手のフランス犯罪映画は久々にみたのだが、良くも悪くもこのジャンルはすでにテレビのものになっているのかもしれない。監督のオリヴィエ・マルシャルもこの作品が劇場長編2本目ということらしいが、それまでに犯罪もののテレフィルムで俳優としての長年のキャリアがあるようだ。

平面的な照明で、よくいうかつてのフィルム・ノワールのようなコントラストの強い映像ではないのだが、心理描写的な映像はほとんどなく、絡み合う出来事を淡々と追っていくといった感じ。バストショットかクロースアップでほとんど進んでいくにもかかわらず、登場人物たちの表情がほとんど変わらず、色使いも白みが多い。その辺りもハード・ボイルドちっくな映画に仕上がっている要因とも考えられる。なんだか頭からず〜っと音楽がなりっぱなしの感もあるのだが、まあ全体的にみてクールな犯罪ものとしては、派手なアクションに食傷気味の人たちにはお薦めなのかも。


パリの通りの名前がタイトルになってはいるのだが、パリの街が多く出てくる訳ではなく、これはパリ警視庁の住所らしい。まあいちばんの見所は、現在のフランス二大男優であるダニエル・オートゥイユジェラール・ドパルデューの競演なのだろうが、この二人が出演した映画といえば、20年ほど前にみた「愛と宿命の泉」(1986)を思い出す。「愛と・・・」ではオートゥイユのほうがドパルデューの家族を不幸にしてしまったのだが、今回はその逆。どっちの方が悲哀さを、または腹黒さをうまく演じているのか、いろんな人に聞いてみたいところではある。


この映画が今年の12月には日本でも公開されるということだが、これまた全く違った邦題にぶっ飛んだ。その名も・・「あるいは裏切りという名の犬
公式サイトもみてみたのだが、、、さすがに最終の結末はないのではあるが、そこまでストーリーを載せていいものだろうか。劇場に観に行こうと考えている人は、公式サイトはみないことをお薦めする。。。


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