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死霊のはらわた [DVD]
サム・ライミ死霊のはらわた」(1981) をひさびさに鑑賞。
公開当時には特に意識していなかったが、改めてみてみると、隔絶された場所、森、カップル、霧、地下、斧、チェンソーなど、「13日の金曜日」(1980) やトビー・フーパーものなどから発展したアメリカ・スプラッタ系ホラー映画のアイテムが満載。



いまでは「スパイダーマン」(2002) で超売れっ子になってしまったサム・ライミの長編デビュー作ということで、それはもうやりたい放題。学生やインディペンデント系の映画ではよく見られるが、次の機会があるかどうかもわからないからか、とにかく生まれてからそれまでに蓄えてきた表現に対する思い入れを詰め込んだとも思えるような作品。その後のライミ映画でもよく登場しているような気もするが、《瞬間》の表現なんかは特徴的なのではないかと思う。とにかく終盤数分間の暴走振りは圧巻。
予算があればもっと違った作りになったのかもしれないが、何かに取り憑かれてしまったものたちの登場の仕方などはなかなか興味深い。取り憑かれてしまうと確かに要望がすっかり変わってしまうのだが、じわじわとかわっていくといったような様子は無く、他のものたちが気づいたときにはすでに憑依されている。そして、今まで寝ていた子供が元気を取り戻して飛び起きるように、画面の外からいきなり現れる。



悪魔のいけにえ ドキュメンタリーパック「ファミリー・ポートレイト」&「ショッキング・トゥルース」 [DVD]
恐怖と笑いをこれほどミックスしたものを個人的には「悪魔のいけにえ」(1974) ぐらいしかこの映画までみたことがなかったのは確かで、「スクリーム」(1996) などの"やれやれ!"的残虐シーンとはなにかちがって、この映画の中の取り憑かれたものたちは実に楽しそうであり、なんとなく昔のスラップスティック・コメディでよく見たパイ投げシーン*1に通じるものがあるような気もする。
この映画における恐怖と笑いの関係についていま細かく分析できる能力はないが、同じくライミによる続編「死霊のはらわた2」(1987) 、「キャプテン・スーパーマーケット」(1993) の方がもっと笑いの部分が多いという話も聞くし、これらは未見なので、その辺りを見極めるためにも近いうちに観てみたいと思う。



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蝿の王 [DVD]
とにかくただひとり残された者の精神状態はじわじわと蝕まれていき、最終的にはどちらが異常なのか定かではなくなる。通常の(と言われる)秩序だった社会に生きる者たちより、それらの社会の側からみると異常と思われがちな世界にいる者たちの方が生き生きとしている。「蝿の王」(1990) *2の主人公のように、現代では文明的だと思い込まれているような生き方を選んだ者たちは常に冴えない表情をしていて、彼らにはもう無意味に悩むことしか残されてないのかもしれない。


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*1:英語では《pie-fight scene》、仏語では《la scène du combat de tartes à la crème》というらしい。

*2:こちらもぜひ再見したい映画。仏題は "L'île oubliée" 。近いうちにFNACにでも行ってDVDを探してみようと思うが、amazon.frをみてみると、フランスでの評価はあまり高くないようだ。